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nikki

休日にあちこちへ行く

 休日に予定を入れて、それに向けてやることがいろいろあるのに中々身が入らず、時間を上手に使えない。目覚ましの時間から1時間半ほど過ぎてからようやく起き上がり、パンを食べて支度をして出かけた。夕方に予約した歯医者まで少し余裕があると思っていたがそうもいかなかった。少し遅い昼食を飯田橋の富士そばでとった。テーブル席とカウンター席があり、自分はカウンターで食べたが、店を出るときに出入り口近くで二人の男が立って黙々と食べているのを見て立ち食い席があるのに気付いた。
 池袋でデータ復旧見積りに出していた電源がつかなくなったスマートフォンを回収し、歯医者までどうしようかと考えた。電車の移動時間を考えると余り時間はなく、チェックしていた梅崎春生の新刊を見るために少し歩いてジュンク堂に行くことにした。
 売り場に行ってみたが直ぐには見つからず、棚の場所を確認したら壁側に並んでいるということだった。文庫だと思い込んでいたが、今回刊行された小学館の『P+D BOOKS』というシリーズは電子書籍とペーパーバックの同時リリース企画というもので、図書館によく所蔵してあった大活字本の一回り小さいくらいのソフトカバー本だった。イメージと違っていたので購入はせず、かわりに去年からチェックしていた全3冊の梅崎春生作品集でも買って帰ろうと並んでいた棚に行ってみたが、見つからない。検索機でも調べてみたが、どうも売り切れてしまったようだ。あれを買う愛好家がいるのかと驚くと同時に、20年近く前の本なのだから今度、今度と思っているとこんなことになるのだ、と嘆息とともに苦笑いするしかないような心持ちになった。しかしそんなことはこれまでもよくあって、刊行時に立ち読みしてフェアポートコンヴェンションのことが書かれていてからいつか買おうと思っていたピーターバラカンの愛聴盤回顧録はいつの間にか店頭から消え、数年後に文庫本が出た。これは最近になってネットで買った。どんな本も増刷されるわけではないのだから、欲しい時に買えば良いのだが、本も安い買い物ではないから何でもかんでもとはいかないのだ。
 エスカレーターで1階に降りて音楽雑誌コーナーに行くと渡辺享が告知していたレコードコレクター増刊の女性シンガーソングライター特集が積んであり、それだけ買った。池袋のジュンク堂は20年前の学生時代に友人がアルバイトしていた時からよく行っている。時々変わった人もいるが、大体の人は感じの良い接客だから、こちらも買い物がしやすい。
 まだ5月半ば過ぎなのに梅雨入りしたような天気だが、本屋を出ると雨は降っておらず、ちょうど明治通りの歩行者信号が青になったから小走りで渡った。夕方の西武池袋線豊島園行きは空いているから気楽だ。江古田に着いて歯医者に行き、帰りにマザーグースでパンを一つ買った。EVの自動車がタイヤをジリジリいわせながら道を進んできたと思ったらバックを始め、何だと思って見ていると更に方向を変え始めたので、これは大丈夫かと赤の他人ながら気になって見ていると、70代くらいのおじいさんが何回か切り返しを繰り返して昔のセイフーの方に向かう狭い路地に入って行った。
 帰りは仕事の行き帰りで使うのとは違う、学生時代によく通った千川通りと目白通りを南北に結ぶ道を下って帰宅した。あの頃が戻ったら良いのに、といったことは思いもしないが、でも何となくなつかしくはなるのだ。学生の頃は家々に囲まれて見上げる空の狭い街だ、と感じていた。今もその印象はかわらない。