部屋の片付け

　朝7時半頃ビーチチェアの上で目が覚めて、先日つぶした箱の中身の発泡スチロールとゴミ袋を捨てに、外に出た。珍しく朝ゴミ出しに行ったと思ったら、うちはオートロックなのにうっかり鍵を持たずに出てしまって、雨の中マンションの入り口の前で途方に暮れた。飲み物を買おうとポケットに90円入れていたが、近くの公衆電話では10円玉が使えなかった。他の部屋の人もみんな留守のようだった。しかたなく、交番に行って不動産屋経由で大家さんに連絡してもらい、やっと戻ることが出来た。連絡を取ってもらっている間、年輩のお巡りさんが、荒川6丁目でハクビシンが出たと言っていた。交番は駅の出入り口の近くにあり、道行く人々を横目で見ながら自分に呆れていた。うっかりにもほどがある。帰宅してギターを弾いてあれこれ試してみたが、何もいいものが出てこなかった。この後、横になって起きたらもう夕方だった。
　昨日の夜から出しっ放しだった冷凍ご飯を温め、味噌汁とメンチカツを食べたら元気になり、くるりの曲を流してたまに昔のことを思い出しながら、部屋の片付けに取りかかった。コンポを本棚に置きたかったが、スピーカーが棚に入らず断念した。置いてあった定演プレゼントの袋にシミが出来ていて、気になって中を調べたら、飴が溶けて染み出していた。もう8年くらい前のものだ。ずぼらにもほどがある。
　部屋の入り口に置いていたキーボードの箱をなんとか楽器コーナーまで移しかえ、空いた場所に机を移し、机を置いていた所にコンポとその台を移動した。これでやっと、入居して以来防音室の用をなしていなかったドアの開閉が出来るようになった。箱が隠していた本棚の一段分も、使えるようになった。それでも、部屋の荷物の総量が減ったわけではないので、少しスペースが出来たくらいだ。ゴチャゴチャ感はやや薄れたものの、依然として一人暮らし仕様の部屋というのにはかわりない。やはり不用品を捨てていかないと…
　片付けの途中、スーパーに紙パックとペットボトルを捨てに行き、日用品店で止まったままの三つの時計用の電池を買い、隅田川の雨の夜景を見て帰宅した。片付けの続きをしているうちに夜中になった。仕事のことやら、あれこれ考えたくなくても考えてしまっていたが、片付けをしているうちに気にならなくなった。それでも明日はまた仕事で、現実世界の中に身を投入するのだが、片付けはいいもんだ。