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nikki

今や熱心な読者ではないけれど

何年か振りに両国へ行き、「手塚治虫展」を見てきた。行こうと思いながら忘れていて、思い出したときはもう最終週になっていた。今日は最終日前日で開館時間が長い土曜日だったせいか、えらい人だかりだった。手塚治虫を見に今でもこんなに人が集まるもんだと驚いた。丸坊主の小さな少年の、大人たちにまじって展示された原画を見るまなざしが印象的だった。
 帰宅してうたた寝して起きて豚肉の卵とじを作って食った。学生たちから、冬の定演についての葉書が送られて来た。来週の定演の案内は来なかったのに、これが届いたのはどういうことだろう。
 皿を洗って、手塚治虫展の図録を開いたら宮崎駿の、気持ちがほとばしったインタビューが載っていてとても面白かった。手塚治虫に関して語られる感慨は何となく教科書的で、大抵の場合感動を伴った賛辞ばかりだけど、この人の場合はそうじゃない。もちろん少年時代の手塚漫画との出会いを熱っぽく語ってもいるのだが、「僕は、闘いましたから。自分の絵がどうしても手塚さんに似てしまう、発想の段階では全然違うはずなのに、なぜ似てしまうんだろうかということも含め、『新寶島』で受けた時の衝撃の大きさみたいなものとずっと格闘してきましたから。」「僕は、手塚さんの崇拝者になりたいと思わなかった。だから、手塚さんと格闘してない人を見るとげんなりするし、かといって、私は格闘しましたってやつに出会ったって大したことないからね」なんて言ってて、面白い。
 今度の展示は生誕80周年のお祝い的イベントで、『ブラック・ジャック』掲載の背景にあった漫画家・手塚治虫の浮き沈みなんかも少しも語られることなく、一般向けにきれいにまとめて提示したもの、という印象だった。だから、展示には含まれていなかったこの図録掲載のインタビューが、尚更面白く感じられた。

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