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nikki

髪がはねていた日

 今日、カウンターにいると、よく利用されるおばあさんが来た。年齢はあと数年で90だと言う。もっと若いと思っていたので驚いた。背筋がピンとしているのは太極拳をしているかららしい。昔、太宰治が身投げした玉川上水の近くに住んでいて、その事件があったとき、「男女が川に身投げした」と人が言うので聞いてみるとそれが太宰治なのでびっくりした、引き上げの様子は見せてもらえなかったと話していた。
 その後、前の図書館にいたときから声をかけてくれるおじさんと会った。この方も若く見えるが、もう都のバスを無料で使えるシルバーパスを持っていて、いろんな所に行くのだと言っていた。一年前に調べ物に使った本があったのに何度来て探しても見つからない、ということで検索してみると本は見つかった。しかし誰かに持ち出されたのか紛失になってしまっていた。
 暗くなってから、小学生の女の子が本を返しに来た。女の子は床にランドセルを置き、赤とピンクのチェックのふたを開けて中から本を取り出そうとする。ランドセルの中身が物珍しく、まじまじと見てしまった。連絡帳、教科書、いろんなものが入っていた。ランドセルの革のにおいが思い出されるようだった。
 帰る前にトイレの鏡で自分の頭を見ると、真ん中の髪の毛がピンをはねていた。昼に寝かせたつもりだったが直っていなかったようだった。夜遅く、晩飯を食ってから、隣の区の図書館で働くおばちゃんと電話で長話した。

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