カテゴリー
nikki

大事なものを揃えなおす

 2週間前のこと、仕事中に財布を失くしてしまった。中に現金は2千円くらいしか入れていなかったが、クレジットカードやキャッシュカード、免許証や保険証など生活するうえで必要なものを財布ごと全て一緒になくしてしまった。何ともドジなことだ。状況からして見つかるとは考えづらいため、つらいが早々に諦めて気持を切り替えて、あらためて新しく揃え直そう、と心の中では思った。しかし実際に一つ一つ手を付けるとなると中々億劫で、一週間経ってやっと免許証の再交付だけできた。その後一週間は、財布の代わりにジップロックにわずかな小銭とお札を入れてしのいだ(昔、平野レミがジップロックを財布にして使っているという話を聞いて、なるほど透明だから便利そうだなと印象に残っていたので真似してみた)。
 クレジットカードは数日前に新しいのが郵送で届いたものの、キャッシュカードを使ってATMで現金を下ろせないのは不便だ。今日は午後から歯医者だったから、その後に銀行でカードを作り直し、財布を買って帰ろうと考えた。財布を買う店は決めているから、移動の経路上にある給与振り込み用口座の地銀に向かった。するとプライベート用に持っている口座の大手銀行が並びにあった。両方で手続きができるのでラッキーだが、しかし窓口の閉まる時間が差し迫っている。地銀での手続きの合間にもう一つの銀行に「これから向かいますから」と連絡し、すべり込みで何とか両方とも手続きを行うことが出来た。キャッシュカードの再発行という目的は同じなのに仕組みがいろいろ違うのか、地銀では手続きにかかった時間が20分ほどでカードも即時発行されたのだが、大手銀行の方は再発行と同時に認印の変更もすることになったのもあるが1時間近くかかってカードは後日郵送という説明を受けて終わった。
 ともかく、あとは郵便局のキャッシュカードと保険証を再発行すれば、生活に必要なものは再び手元に揃う。電車で上野に移動し、目当ての店で財布を買った。家を出た昼間は暖かかったが、夕方になると涼しくなっていて、コートを着ている人の姿も珍しくなかった。地下鉄では袴を着た若者を見かけた。乗り換えの池袋で通勤定期を更新して自宅に帰るために西武線のホームに立った頃には夕方5時頃になっていて、仕事の帰宅どきには少し早いように思われたが、乗客は多かった。住まいの江古田に着いて帰路につくとスーツを着た若者とすれ違った。あちこちにグループが集まっているのも見かけた。家の前の公園では、傘をささなくてもすむくらいの雨の中、円陣を囲むように大勢の男女が集まっていた。それぞれに旅立ちの日を迎えたのだと思った。そして自分たちの学生の頃を思い出した。春はいつも見送る側だった。今年も冬はいつの間にか過ぎ去って行った。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です