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nikki

車と冷蔵庫の春

 今夜はずいぶん風が強かった。桜の花弁が風に吹かれて、建物の隅に追いやられていた。
 春になると、来館者の中には苦情を言う人が増える。毎年そうだ。多分、どこの図書館も同じだろう。今日もちょっとした行き違いからそうしたお話を聞く機会があった。最初は何となく聞いていたのだが、途中から随分怒っているのだということに気付き、同時に気付くのが遅い自分の間抜けさを感じ、話を聞くだけでなくお詫びした。僕たちのような接客サービス業(図書館窓口はそういうところだ。バックヤードはブルーカラー的側面もある)は感情労働とも言われるが、気持ちの疲弊や摩耗は慣れのお陰かそれほど感じなくなったとは言え、人と人との間で起こることだから、やはり心にひっかるものは残る。会社からは、手続きの重大な手落ちに関して怒られた。「今日はそんな日なのだろう」とふと頭の中に浮かんだ考えに自分の無責任さを認めながら、一日の仕事を終えた。一方、新しく役職についた若者の実践研修のようなものも少しやれた。これから、いろんな経験を積んでいくのだろう。危なっかしいところもあり、そしてそれを都度フォローする自分の役割を忘れる危うさを感じながら、日々の業務を積み重ねている。強風で建物の窓も壊れた。修理中、新聞や雑誌を読んでいるおじさんたちは動じずに閲覧を続けていた。今日はそんな日だった。
 先月、音楽ニュース系のサイトで知った石橋英子というミュージシャンのアルバムを購入した。この人の来歴はよく分からない。あるバンドのドラマーとして長く活動を続けていた一方で、ピアノのアルバムも出している。今回のアルバムは「もう死んだ人たち」というサポートバンドと作り上げたもので、本人は歌とピアノなどを演奏している。日本語詞を担当した前野健太の言葉のようだが、「ゴリラの背」という曲も収められている。心を捉えるアルバムだ。

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